「また疑義照会が増える…」
現場にそんな溜息が聞こえてきそうな改定がやってきました。
2026年6月から、エンシュア・Hやラコール等の「経腸栄養剤(食品類似薬)」の保険給付ルールが厳格化されます。これからは処方箋をパッと見て「理由」が書いていなければ、即・疑義照会が必要です。
今回は、対象薬剤のリストから、現場でチェックすべきポイント、そして患者さんに納得してもらうための「栄養指導の武器」までをまとめました。
なぜ「処方理由」が必要になるのか?
厚生労働省は、保険給付の適正化(コスト削減)を目的に、単なる栄養補給以上の必要性がある場合にのみ保険を認める方針を打ち出しました。
「栄養保持を目的とした医薬品の保険給付の適正化」の要点
- 手術後の患者である場合はその旨
- 経管により栄養補給を行っている場合はその旨
- 食事摂取が困難で医師が必要と判断した場合はその具体的な理由
これらが処方箋およびレセプトに記載されていることが、保険給付の条件となります。
(出典:令和8年度診療報酬改定説明資料)
対象となる主な薬剤
2026年6月以降、以下の薬剤が処方された際、備考欄が真っ白なら疑義照会の対象です。
- エンシュア・H / エンシュア・リキッド
- ラコールNF配合経腸用液
- エネーボ配合経腸用液
- イノラス配合経腸用液
- ツインラインNF配合経腸用液
現場の薬剤師がやるべきこと:疑義照会と服薬指導
処方箋を受け取ったら、まずは備考欄を確認。記載がない場合は医師への確認が必要ですが、それ以上に大変なのが「患者さんへの説明」です。
「今まで通りに出してよ」という不満に対し、「国のルールですから」と突っぱねるだけでは、信頼関係は築けません。
💡 専門家として一歩先のアプローチ
これからの薬剤師には、病態に合わせた栄養療法の知識が求められます。
「先生、今回の患者さんはフレイルが進んでいるので、この栄養剤だけでなく高タンパクな食事指導も併用していいですか?」
そんな提案ができるようになると、疑義照会の電話一本も「頼れる薬剤師」へのチャンスに変わります。
そんな時に助けになる、おすすめの2冊を紹介します。
『薬剤師・管理栄養士のための 今日からはじ める薬局栄養指導』
薬局での栄養指導における薬剤師の役割、管理栄養士との協働などについて詳しく解説されていて、現場ですぐ使える知識が凝縮されています。
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『薬剤師のための栄養療法管理マニュアル』
薬剤師が知っておきたい栄養療法の知識をコンパクトにまとめたマニュアル。
主要な22の症状・疾患について、「栄養管理」「食事療法」「薬物療法」の各ステップの介入ポイントを提示。患者の症状や疾患に応じた最適な栄養療法を進める時の心強い相棒!
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最新の栄養学をアップデートしておくと、患者さんや医師への説得力が格段に上がります。
保険適用外の「代替案」を持っておく
もし保険での継続が難しいケースや、少しだけ補いたいという患者さんには、市販の栄養補助食品(メイバランスやアイソカル等)を提案するのも立派な仕事です。
まとめ:増え続ける「事務負担」にどう向き合うか
今回の改定により、現場の事務的な負担(チェック作業・疑義照会)が増えるのは間違いありません。
「対人業務を充実させろと言いながら、事務作業ばかりが増えていく…」
もし今の職場のICT化が遅れていたり、人手不足で本来やりたい「指導」に時間が割けなかったりして限界を感じているなら、少しだけ外の世界を覗いてみてもいいかもしれません。
「臨床」に集中できる環境は確実に存在します。

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